わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

キネシオロジーとかクラニオとかカイロとかアロマとか、なんだかこむずかしい事をわかりやすく発信するブログ

親の影響力、親知らず

 

フランスの作家アンドレ・マルローは、自著の中で

f:id:soumasekkotsuinn:20160114183942j:plain

「21世紀は精神の時代となろう。」

というような事を言ったそうです。

 

また、スイスの心理学者グスタフ・ユング

f:id:soumasekkotsuinn:20160114184024j:plain

キリスト教中心の西洋文明の終末は20世紀末 から21世紀初頭にかけて到来する。 そして次の文明は、一神教や独裁専制ではなく、 霊性の支配する時代となるであろう」

と、予言めいた言葉を残しています。

 

 

この「精神の時代」と「霊性の時代」という言葉はほとんど同じ意味の言葉としてとらえればよいかと思いますが、一方で「20世紀」という時代については「戦争の時代」とか「物質の時代」などと表現されたりします。

 

 

「戦争の時代」「物質の時代」から、「精神の時代」「霊性の時代」へ。

 

それはつまり、人々が望むものの価値観がモノやお金などの「カタチの有るもの」から、思考や感情・意識・気付きなどの「カタチの無いもの」へとシフトしている、という事を意味しているのではないでしょうか。

 

こういった、「物の豊かさを追い求める時代というのはとっくに終わっていて、現代は心の豊かさが最も必要とされている時代なんじゃないか?」という事に何となく気が付いている人、というのは実は意外とたくさん居るのではないかと思いますが、そういった「世の中の変化に対する認識」というのは間違いではないと思います。

 

もちろん、「カタチの有るもの全て価値が無い」というわけでは決してありませんが、しかしながら「カタチの有るもの」だけにとらわれてしまう事によって、何か自分だけが時代に取り残されてしまっているような、そんな危機感を感じてしまうというのもまた、あながち間違いではないでしょう。

 

一方、そういった「価値観の変化」というものは医療の世界においても同様で、「ただ揉めばいい」「薬で症状を抑えればいい」「手術をすればいい」「ただ治せばいい」などという平面的・二次元的な見方から徐々に、あるいは急激に変わりつつあるのかもしれない、といった事を日々感じています。

 

 

 

先日、来院された患者さんの治療のなかでも、そのような事を強く認識させられるような事がありました。

 

 

胸の苦しさを訴えて治療に来た30代の女性、Iさん。

 

ここ1、2週間前から、主に空腹時に締め付けられるような苦しさを感じる、との事。

 

「空腹時」という症状の出方を考えると消化器系の問題がまず第一に疑われるでしょう。

 

なので、まずは内臓関係の検査から治療を進めていきます。

 

 

まず大まかに消化器系と呼吸器系の問題を調べますが、特に弱さは現れません。

 

なので、もう少し詳しくそれぞれの部位ごとに調べますが、やはり問題は現れません。

  

検査を進めながらここ最近の全体的な調子を聞くと、              「いつもは問題なく順調にきている生理が、今回だけは少し遅れ気味」という話。

 

そんな話を聞きながら検査を進めている時に、Iさんの呼吸から若干の「胃酸のにおい」を感じました。

 

「胃酸」というのは文字通り胃から分泌される内分泌液で、基本的には食べ物が胃に運ばれる時に指令を受けて分泌される、食物を消化・分解するために必要不可欠なものです。

 

この「胃酸」が何らかの原因によって、食事以外の時にも必要以上に分泌されてしまう事を一般的に「胃酸過多」と言いますが、その場合、呼気に含まれる「胃酸臭」によって気付く、という事がよくあります。

 

Iさんにその事について質問すると、以前は仕事などでストレスを感じたりした時に胃の不調を感じることがよくあったそうです。

 

その話を踏まえて、胃を含む消化器系全般の機能を調べてみます。

 

最初に胃単独で検査した時には特に問題は現れませんでしたが、自律神経の問題と合わせて調べたところ、今度はハッキリと弱さが現れました。

 

他の消化器系には問題が現れなかったので、もう一つ、胃の関連筋である大胸筋鎖骨部の筋力テストを行った結果、右の大胸筋鎖骨部で筋力低下が認められました。

 

再びIさんに話を聞くと、そういえばここ最近、右の首から肩にかけて重苦しい痛みが現れていた、という話。

 

おそらくですが、右の大胸筋鎖骨部の筋力低下によって、右肩関節まわりの筋力バランスの問題が起きていたのだと思われます。

 

さて、ここまでに現れていた問題を整理すると…

 

胃の不調と呼気に感じる胃酸臭、肩の重苦しい痛みと大胸筋鎖骨部筋力低下

→胃の自律神経性機能低下

→日常生活におけるストレス?

 

こんなところでしょうか。

 

ひとまずここまでの問題をまとめて治療してしまいます。

 

治療後に今の状態をIさんに聞くと、治療前が10段階のレベル「10」だとすると、今は「6」くらいとの事。まだほかに問題が残っている感じですね。

 

引き続き、それ以外の問題を診ていこうとIさんに意識を向けると、なんとなく  「曇った感じ」の印象が気になりました。

 

そこで、最近何かストレスを感じる出来事がなかったかIさんに質問すると、   「仕事上の問題」と、もう一つ「母親との問題」があったとの事。

 

それぞれの問題についてイメージしてもらいながら、キネシオロジーテストで調べてみると、「母親との問題」の方に優先順位がある、という結果が。

 

聞くと、Iさんの母親は糖尿病を患っていて、それが原因でたびたび体調を崩すことがあるせいか、精神的にも不安定になりやすいという問題を抱えているそうです。

 

そして、母親が肉体的・精神的に不安定な時は決まってケンカになる、との事。

 

つい最近もやはり精神的に不安定だったせいか、連絡を取る事を拒絶されている状況が2・3週間続いている、との事でした。

 

そのような話を聞いた時、ふと「母親の方の治療の必要性」というのが頭に浮かんできました。

 

こういったひらめきの様なものというのは経験上、治療の方向性を決める上でとても重要な意味を持つことが多くあります。

 

そこで、ひとまずこの日のIさんの治療はいったん終了し、続いて母親の方の治療をしてみる事を提案しました。

 

といっても、Iさんの母親は当然この場には居ません。

 

なので、「遠隔治療」で離れたところからIさんの母親の検査と治療を行っていきます。

 

Iさんに母親の名前と生年月日等をうかがい、その日の会計を済ませてから母親の方の検査を始めます。

 

 

はじめに、「身体の問題」と「こころの問題」のどちらを優先すべきか調べると、「こころの問題から」という結果が出ました。

 

その結果を踏まえてメンタルの状態を調べていくと、驚くほど次から次へと問題が現れてきました。

 

まず感情の問題については「不信・疑惑」「恨み」「悲しみ」「恐怖」といった感情が浮かび上がってきました。

 

それから「感情の凍結」の問題、それと「お金」の問題などもあるようです。

 

それらの問題を優先順位の順に調べていき、それぞれの問題を解消する手段を探っていくと、ほとんど全ての問題について「浄化が必要」という結果が。

 

後日、Iさんから聞いた話ですが、実はIさんの母親というのは子供の頃に兄弟から強烈なイジメに遭っていたらしく、その時の話を何度も聞かされていたそうです。

 

その時の感情が何十年たった今でも残り続け、今もIさんの母親の心の傷として、母親自身の様々な問題に影響し続けていたのでした。

 

そして、その影響はIさんにも…。

 

Iさんに聞いた話によると、実はIさん自身もまた、幼いころからイジメに遭う事が多かったそうです。

 

こういった事というのは実は意外とよくある話で、つまり、親が経験して片付ける事ができなかった問題があった場合に、その子供が同じ問題を受け継ぐことになり、まったく同じようなことを経験する事になる、という事が実際にあるのです。

 

若いうちであれば、そのような問題を解消するという事も可能かもしれませんが、年齢を重ねるにしたがってそういった事というのは難しくなっていきます。

 

そのような場合には、本人の努力以外の方法によって問題を「浄化」する必要があるのかもしれないでしょう。

 

 

さて、Iさんの母親のメンタルの問題について、その浄化の方法を調べると、「塩による浄化」と「満月による浄化」という方法が有効、という結果が出ました。

 

「塩による浄化」は基本的に荒塩を使って行うのですが、ちょうど以前取り寄せていた「七五三塩」があったので、使えるか調べたところ「YES」との結果が。

f:id:soumasekkotsuinn:20160114180311j:plain

 

また、「満月による浄化」については、やはり以前使用したスーパームーン」の画像をネットで拾ってきて写真に印刷したものがあったので、同様に使えるか調べたところ「YES」の結果が出ました。

f:id:soumasekkotsuinn:20160114181044j:plain

 

案外、都合よく身の回りにあるもので事足りるものですねー。まぁ世の中そんなもんです。

 

とりあえずそれらのツールを使って、「Iさんの母親自身」ともう一つ「実家の場所」も浄化する必要がある、という結果がキネシオロジーテストで出たので、その結果にしたがって一緒に浄化していきます。

 

その他もろもろの問題も含めて施術を行い、終了後には念のため「サンジーヴィニの波動伝送カード」を使用して継続的に浄化を行います。

f:id:soumasekkotsuinn:20160114181108j:plain

 

その日の治療はひとまずそれで終了。次回、一週間後のIさんの治療の日に結果を伺う事に…。

 

 

と、思っていた矢先、Iさんが治療を行った翌日に来院されました。

 

なんでもその日の午前中、しばらくぶりに母親が電話をくれたとの事。

 

ちょっと前までの「精神的な不安定さ」がウソのようにまったく感じられず、なんだか別人のように機嫌が良かったそうで、久しぶりに仲良く話ができた事をとても喜んでいましたが、

「なんだろう…、先生の治療が効いたんですか…ねぇ…?」

と、なにやらキツネとタヌキにつままれて化かされて最後に胴上げされたかのような顔で不思議がっていました。

 

Iさんにとってはやはり母親の事は大きなストレスになっていたのでしょうか、Iさんの表情も昨日とは違ってとても明るく、体調も昨日よりかなり良いという事でした。

 

 

 

子供にとって「親」というのは、どれだけ拒絶しようと、どれだけ拒絶されようと、決して無視することができない存在です。

 

そういう存在であるからこそ、「親から受けた影響」というのはそう簡単には消すことができません。

 

「三つ子の魂、百まで」といいます。

 

例えそれが「ポジティブな影響」でも「ネガティブな影響」でも、        例えそれが「目に見えるもの」でも「目に見えないもの」でも、         子供の意識にはずっと残り続けるのです。

 

ですが、そのような「影響力」をちゃんと自覚している親御さんは極めて少ない、というのが現実です。

 

そのため、現代に生きる人の中には、様々な種類の影響を受けて育てられ、同時に「親が片付けられなかった問題」を抱える事になった人というのが少なくありません

 

そういった問題の存在に気が付くことができなかった場合、その問題はさらにその次の世代の人間に引き継がれることになるでしょう。

 

 

「子育て」というのは、もしかしたら「とても難しいもの」と思っている方が多いのかもしれませんが、理屈としてはとても単純な事なのです。

 

 

「ネガティブなことを引き継がせない」、そういった意識を持つこと。

 

 

たったそれだけの事なんじゃないですかね。わかんないけど。

 

 

 

 

 

 

高速道路を走行している車に乗っているのが苦しくて耐えられない人が、   何ともなくなった話

 

f:id:soumasekkotsuinn:20151110102150j:plain

  

どうも。一度でいいから北海道を車でまわりたいなぁ…と企んでいるきんたろうです。

 

若いころ、車を全損にするような事故を起こした時に、「自分は車の運転が上手くないんだから、調子に乗って吹っ飛ばしてるとそのうち逝くかもしれないな…」という事に気が付いて以来、すっかりおじいちゃんの様な運転でのんびり走るようになってしまった僕ですが、基本的に車で出かけるのは好きな方なので休日にはちょくちょくドライブに出かけたりしています。

 

遠出する時なんかはだいたい高速道路を利用したりするのですが、最近来られた患者さんで高速道路が苦手という方がいらっしゃいました。

 

 

 

今回はそんな方の話。Iさんという30代の女性の方。

 

免許は持っていないため助手席専門との事ですが、ふだん車に乗っていると、高速道路を走っている時に限って何故か車に乗っているのが怖くて耐えられなくなってしまうのだそうです。

 

そのため、車で遠出することができなくて困っている、との事。

 

なんだかよくわからない話ですが、「自分に治せない患者はそもそも治療には来ない」という謎理論が僕の持論なので、とりあえず詳しく話を聞きながら治療を進めていく事にしました。

 

 

 

まずは、患者さんに一つずつ質問をして、出てきた弱さをキネシオロジーテストで調べながら、その弱さを消していく治療から始めます。

 

はじめに「車に乗っている時の状況」を頭の中でイメージしてもらいましたが、特に「弱さ」は現れませんでした。

 

なので、次に「高速道路を走行している状況」をイメージしてもらったところ、今度は途端に「弱さ」が現れてきました。

 

続けていくつかの質問をしていくと、「走行中の電車に乗っている状況」や、「停車中のドアが開かない電車に乗っている状況」などをイメージしてもらっても、同様に「弱さ」が現れました。

 

「車」よりも「電車」という単語でより多くの反応が現れ、その他の乗り物では「弱さ」は現れません。

 

ここで言う「弱さ」というのは、キネシオロジーテストによる「筋力低下を引き起こしている状態」の事を言います。

 

つまり、ある事を思い浮かべてもらう事で、そのイメージがその人にとっての「ストレス」になっている場合、その人の身体に「筋力低下」という肉体的な変化を引き起こしてしまうのです。

 

このような反応というのは、そのイメージを引き金にして「過去に起きた出来事の記憶が呼び起されてしまうために起こる」といったケースである場合が少なくありません。

 

つまり、記憶のどこかに「過去に関するネガティブな情報」が潜在しているため、その記憶が何かのきっかけで呼び起されてしまうたびに、「筋力低下」といった肉体的変化や、「怖くて耐えられない」といった精神的な問題が引き起こされているのかもしれない、という事が言えるのです。

 

そのような問題を確認するために、今度はIさんの身体や脳に「ネガティブな記憶」が残っていないか入念に調べていきます。

 

脳の部分的な場所を一つずつ調べていくと、扁桃体「海馬」で弱さが現れました。さらに具体的な感情の問題と組み合わせて調べると、「不安」と「恐怖」という感情によって弱さが現れます。

 

これはつまりどういう事でしょうか?

 

おそらくですがIさんの場合、「記憶されている場所」として「扁桃体」という部位と、「記憶の処理に関する問題」として「海馬」という部位が関係している、といった事が反応として現れたのではないかと思います。

 

そして、そこに記憶されているのが「不安」と「恐怖」という感情にまつわる記憶であると。そのような事がテストの結果から読み取れるでしょう。

 

そもそも「人の記憶」というものはどこに蓄積されているのか?という事については、科学的・医学的にすべて解明されているわけではありません。

 

特に今回の様な「感情的な記憶」といったものについては、一般的には「大脳辺縁系」、特に「扁桃体」などの脳のいくつかの部位が関与していると言われていますが、じつはそれ以外にも、内臓や身体の様々なところに「感情的な記憶」が蓄積されている、といった事も言われています。

 

そのような「感情的な記憶」の蓄積や処理に関与している部位の問題や、具体的な感情の種類などをテストして、現れた弱さをそのつど処理していきます。

 

ひと通り治療を済ませ、とりあえず弱さが出ない状態にしたうえで、前述したテストの結果についていくつか説明と質問をしたところ、Iさんが過去に経験した出来事について話をしてくれました。

 

 

それは10年ほど前、電車に乗って仕事から帰宅する途中の出来事でした。 

 

乗っていた電車に人身事故が起きてしまい、線路上でしばらく一時停止する事になってしまったのです。

 

突然の事故によって、何時、運転が再開するのか分からないという状況のために、しばらくの間「電車から降りたくても降りられない」という、一時的に車内に閉じ込められた状況になってしまいました。

 

普通だったら、「しょうがないか…」と、適当に時間をつぶしたりしていれば済む話なのですが、この時、Iさんはそれまでに感じたことが無いような気分の悪さによって、その場に倒れ込んでしまったのです。

 

そして、そのまま停車中の電車から救急車で病院に搬送されることに。

 

少しの間、病院で安静にしていた後、家族に迎えに来てもらいその日は帰宅しました。

 

しかしそれ以降、電車に乗ると決まって、何とも言えない「気分の悪さ」や「過呼吸」が起こるようになってしまい、ついには電車に乗ることができなくなってしまったのです。

 

その後、体調は悪化し、仕事に行くこともできなくなってしまったため、しばらくの間、自宅で療養する事に。

 

原因不明の体調不良が一向に回復しないため診療内科で検査を受けたところ、  うつ病」と「パニック障害という診断を下されました。

 

 

一般的に「精神疾患」というのは、「原因がよく解らない」などの理由から具体的な治療法もいまだ確立していないものがほとんどです。

 

その為、治療期間の長期化や再発なども少なくない、とても深刻な問題なのです。

 

Iさんについてもやはり例外ではなく、普通に生活できるようになるまで5、6年くらいの期間がかかったそうですが、その後、若干の症状の再発はあったものの、ここ数年はほとんど問題無く生活できていた、との事でした。

 

本人的には自覚症状も無いため、すっかり治ったものと思っていたようですが、今回の治療に関するテストにおいて「電車に乗っている状況」のイメージで「弱さ」が現れていた事を考えると、「高速道路を走行中」という似たような状況で問題が起きていた原因とは、じつは過去の問題が強く影響していたのかもしれない、という事が言えると思います。

 

 

そんなこんなで治療を終えた後に色々と話をしたところ、Iさんにとっても目からウロコが落ちたような感じだったらしく、

「あー、絶対それかもー!」

と納得していました。

 

でも、なかなかそういった事を「自覚する」という事自体、意外とできない人にはできない事だったりするんですけど、幸いIさんの場合はすぐに認識できたという事が治療の結果にもつながったのだと思います。

 

その後、数週間後に近所でお会いした時には

「先生~!高速乗れたよ~!」

と明るい声でその後の経過を話してくれました。

「ずっと何年もツラかったのに何で~?!」

とビックリしたような、不思議そうな顔をしていました。

 

 

 

さて、前述したように精神的な問題というのはえてして治療が難しく、治療期間も長期化する事が多い厄介な問題と思われがちですが、じつはそうではないのではないか?と最近は思うのです。

 

「こころ」というカタチの無いものは目には見えない。だからわからない。 

 

「見えない」という事は、つまり目を閉じて生活するようなものですから、不安になってしまうのも当然の事でしょう。

 

そのため、「小さな問題」なのに自分の中で「大きな問題」にしてしまったり、あるいは「単純な問題」なのに「複雑な問題」だと思い込んでしまったり…。

 

いわゆる「疑心暗鬼」の状態ですね。メンタルの問題を抱えている方というのは、えてしてそのような状態に陥ってしまっています。

 

では一体なぜ、そのような状態に陥ってしまうのか?

 

そもそも「こころ」というカタチの無いものは、本当に見えないモノなのでしょうか?

 

みなさんは今まで、自分の「こころ」というものをちゃんと見ようとした事が有りますでしょうか?

 

「こころ」とか「自分」とか「メンタル」とか。よく耳にする言葉ではあるけれど、実はボヤっとしたイメージしか持っていないような、そんな曖昧な認識なのではないでしょうか?

 

そういった「曖昧なイメージ」である理由というのは、単純に見ようとしないから見えない、だからよくわからない、案外そんなもんなのかもしれませんよね?

 

そして、シンプルに考えてみれば、「見ようとしないから見えない」という事は、 逆に言えば「見ようとすれば見える」という事でもあります。

 

ただですね、この「見ようとすれば見える」という事が、実は意外とハードルが高かったりもするのです。

 

それは何故か?というとその理由はいくつかありますが、一番の理由はですね、現代に生活している人というのは「情報をたくさん入れ過ぎ」なんですね。アタマの中に。

 

あるいは「情報をたくさん入れられ過ぎ」という言い方のほうが正しいのかもしれません。

 

「現代」というのは、ちまたにたくさんの情報が溢れている「情報過多」の状態になっています。

 

例えば、街を歩いていても様々な音や音楽、あるいは派手な広告や看板などがたくさん溢れていますよね。

 

同時にテレビやパソコン、スマホなどによっていくらでも情報を集めることができる、とても便利な環境も揃っています。

 

そして、そのようなちまたに溢れている情報を「無意識のうちに集めること」に夢中になってしまっている人というのが世の中にはたくさんいます。スマホ依存症」なんかはまさにその典型的な例ですね。

 

そんな「情報過多」の環境の中でさらに仕事や勉強などの情報や、あるいは身の回りの人間関係などの情報まで、次から次へとアタマの中に詰め込んでしまったとしたら、一体どうなってしまうでしょう?

 

普通の人なら頭がパンクしてしまいます。

 

そのため、本来ならばそのような「頭の中が情報だらけでパンク寸前」の状態に気付いて、徹底的に情報の整理や取捨選択などの「情報処理」を行わなくてはいけないのです。

 

ちょっと考えれば、自分が今やっている「情報集め」は実はほとんど意味が無い、という事くらいすぐに気が付きそうなもんですよね。

 

ですが、実際には「情報の収集」に夢中になってはいても、「必要な情報の選択」や「集めた情報の処理」なんか考えたこともない、という人がたくさんいるのです。

 

そういう人というのは「自分の事でいっぱいいっぱい」ですから、当然、他人の事を考える余裕もありません

 

そもそも「自分の事でいっぱいいっぱい」というのが、実際はほとんどが「自分の事ですらないただの情報」を集めているだけだったりするので、それ自体がじつは大きな勘違いなんですけどね。

 

 

「自分の事」ですらない? 

じゃあ「自分の事」ってなんでしょう?一体どこにあるんでしょう?

 

問題はそこなんです。

 

「見ようとすれば見える」という事が、じつは意外とハードルが高い理由というのがそこにあるんです。

 

つまり、大量の「自分の事ですらないただの情報」に隠されて、その奥にある   「本当の自分の姿」というものが見えなくなってしまっているんです。

 

「自分ってナニ?」

「仕事や家の事で忙しくてそんな無意味な事考えてられない」

 

世の中、そんな人がたくさんいます。

 

でも、それって本当に「無意味な事」なんでしょうか? 

むしろ、最も大事なことなのかもしれないのではないでしょうか?

 

 

「現代に生きる人」というのは、常にそのような「頭の中のゴミ掃除」を必要としているのかもしれません。

 

 

 

 

 

「厄落とし」と「病気」の関係とは?

 

f:id:soumasekkotsuinn:20151130185820j:plain

やく【厄】

1.わざわい。災難。

2.よくない巡り合わせ。

”人間の生命や生活の健全と安定をそこなう要因になると考えられている災難・障害に関する心意現象をいう。

時間の次元では厄日,厄月,厄年があり,空間的には厄の生ずるという場所があるが,厄をもたらすという神も考えられており,それらを避けるための呪的方法が多く生み出されている。”

 

 

 

一般的には「厄払い」とか「厄落とし」などといった言葉で表現される、   「厄」というカタチの無いもの。

 

「分かっているようで分かっていない言葉」ランキング第八位くらいに入るであろう、この「厄」というものについて、分かっているのか分かっていないのかよく分からないようなフワッとした感じで説明をしていきたいと思います。

 

 

例えば「透明のグラス」があったとします。

 

それを、屋外の雨ざらしになるようなところにしばらくのあいだ置いておいたとしたら、この透明のグラスは一体どうなってしまうでしょう?

 

まず、時間の経過とともに雨で汚れてすすけてきます。             さらにそのまま放置していたら、強風によって倒れてひびが入ってしまったりもするかもしれません。

 

この「汚れですすけてしまったり、ヒビが入ってしまった状態」。        簡単に言うとこれが「厄が付いた状態」です。

 

そしてこの「厄が付いた状態」のグラスの中にあなたが居るとイメージしてください。

 

あなたはまわりの世界を「厄が付いたグラス」を通して見ることになります。

 

当然ながら、あなたからはまわりの世界の事が見えづらくなってしまうために、物事を正しく見ることが出来なくなってしまったり、あるいは物事を見誤ってしまったりといった事が多くなってしまうでしょう。

 

その結果、間違った判断をしてしまったり、間違った方向に進んでしまうといった事が起きてしまうわけです。

 

「厄年には悪いことが起きる」という迷信には、実はこういった理由があるんですね。

 

 

また、一般的に「厄」というものは年齢を重ねるとともに蓄積していくものでもあります。

 

例えば、あなたの身近に幼い子供が居たとします。

 

子供というのはたとえ他人の子供であっても、とても可愛くてキラキラしています。

 

ただそこに居るだけで周りの人を笑顔にしてしまうような、そんな魅力に溢れていますよね。

 

ですが、そんな幼い子供のキラキラした空気も、年齢を重ねるとともに何故かその魅力が失われていってしまいます。

 

小学校、中学校、高校と成長し、成人する頃にはすでに幼いころのキラキラした空気を全く感じられなくなってしまっている人というのも少なくありません。

 

この「キラキラした空気を全く感じられない状態」。              まさしくこれが「厄が付いた状態」なんです。分かりやすいですねー。

 

まぁ、まれにですが大人になってもその「キラキラした空気」を持ち続けている人というのも居たりしますが、そういった人というのは、もしかしたら何か目に見えないものによって守られていたりするのかもしれませんね。

 

 

さて、この「厄」というもの。具体的にどういったものが「厄」になるのでしょうか?

 

大ざっぱに説明すると、例えば「思考」とか「感情」とか「意識」とか固定観念などといった「自分の中にあるもの」

これらのものは「もともと自分の中にあるもの」だけではなく、「自分の外から与えられたもの」も含みます。

 

それから、「情報」とか「状況」などといった「自分の外にあるもの」

 

そういったものの全てが、場合によってはあなたにとっての「厄」になってしまう可能性があるのです。

 

例えば、最近読んだ本にこんなことが書いてありました。

 

「ワインなどの生きている液体は、長く置いていると底に「澱み」が溜まる。同様に、人も長く生きると「澱み」が溜まってしまう。ワインの底の「澱み」がワインの味を壊してしまうように、歳をとった人間の「澱み」は若い人間の気持ちをダメにする。」

 

ここで言う「澱み」とは何か? という事についてはその本の中では触れていませんでしたが、でもコレってなんとなくわかるような気がしませんでしょうか?

 

世の中には、歳をとって「頭がカタくなる人」っていますよね。         そういう人というのはある日突然、頭がカタくなるわけではありません。     少しづつ、少しづつ、色んな経験を経て変わっていってしまうのです。

 

また、「年長者」というのは若い人に対して強い影響力を持っている場合が多かったりもします

 

「両親」という存在などがまさにその典型的な例でしょう。

 

そういった、色んな経験を経て「澱み」をたくさん溜め込んでしまった人間から影響を受けた子供や若い人は、その強い影響力によって一体どんな人間になってしまうでしょう? 

 

このような事を、「厄」という表現の他に例えば「潜在意識への植え付け」とか、あるいはインナーチャイルドなどといった表現をしたりもします。

 

あとは、より意図的のもので言うと「洗脳」とか「マインドコントロール」などといったものもその類に含まれるでしょうか。だんだん怖い話になってきましたね、フフフ…。

 

まぁ、いきなり「厄」というものの最もやっかいな例で説明してしまいましたが、実際にはもっと軽いものもたくさんあったりもします。

 

ただですね、実際にそういったものを無くそうと思った場合、その方法というのが実は結構やっかいだったりするのです。

 

一般的には、いわゆる「厄落とし」とか「厄払い」、あるいは「浄化」という作業が一つの方法ではあるんですが、こういった方法というのは、基本的には「グラスの汚れ」とか「グラスのくすみ」程度の軽いものに対しては非常に有効だったりします。

 

ですが、これが「グラスのヒビ」位のレベルになってしまうと、まぁなかなか難しかったりするんですね。

 

もうホントにメンドクサイです。時間もかかるし一筋縄じゃ行きません。

 

なのでその場合、基本的にはほとんどのケースでずっとそのままだったりします。 放置ですね。

 

ですが、現実問題としてはそれもひとつの対処方法でもあるんです。

 

つまり、「受け入れてしまう」という事ですね。「そういうもんだ」と。

 

まぁ、それはそれで簡単な事では無いかもしれませんが、根本的にキレイにするよりはずっとラクな方法ではあります。

 

 

で、まぁ話を戻しますけど、「厄落とし」です。神社なんかで神主さんが榊の枝でワッサワッサってやりますよね。あとはホンダラハンダラって祝詞をあげたりとか。年末の時期には「大祓い」を行ったりもします。

 

ああいったものというのは、例えば厄年の時に神社に行って「厄払い」という形で行ってもらうというのが一般的かもしれませんが、だからといってそれで全て無問題というわけではありません。

 

「厄払い」をしてもらっても不幸な事が起こる場合というのも当然あります。人によっては何度でも。

 

でも、「厄払いしたのにどうなってんだ!金返せ!」と怒っても仕方がないんです。何故なら、それだけその人が「厄だらけ」だという事なんですから。

 

つまり、人が生きている以上、「厄」というものは常に付きまとってしまうものなんですね。年に一回の「厄払い」では足りない、という人も当然居るでしょう。

 

だからこそ、普段から「浄化」などを行う事が必要になってくるわけなんです。

 

ちなみにここで言う「浄化」とは、簡単に言うと「厄払い」とか「厄落とし」などよりももっと「手軽に自分で行う事が出来る方法」の事を指していると思ってもらえればいいでしょう。

 

やり方は結構簡単だったりするんですけども、意外とその効果は侮れなかったりします。

 

例を挙げると、止められなかったタバコをなんの努力もせず止められたりとか。そういった事が普通にあったりします。

 

んでまぁ、具体的な方法としては、例えば水晶を身に付けるとか、荒塩や日本酒を使うとか、あるいは神社に行くとか色々ありますが、その辺の事はネットで検索するといくらでも出てくると思います。

 

そういった「浄化」の具体的な方法というのももちろん大事なことではあるんですけど、実はそれ以上に重要な事があるのです。

 

それは何かというとですね、普段から「厄」とか「浄化」とか「厄落とし」といった事を「常に意識する」という事が最も重要なんです。

 

例えば、みなさんは自分のからだの「汚れ」とか「体臭」とかが気になったりする事ってありませんか?

 

そういった「汚れ」や「体臭」というのは、意識するから気付くもので、気付くからこそ風呂に入ってキレイにするわけですよね。

 

「厄」というものも実は同じなんです。意識しなければ気付きません。でも意識を向ければ気付くのです。

 

「厄」というものに意識を向けて、その存在に気付くことができれば、それを「浄化」することができ、「浄化」することができれば、物事を正しく見ることができるようになるのです。

 

そう、「ピカピカに磨いたグラス」を通して見るかのように。

 

そしてその結果、正しい方向に進むことができ、物事がスムーズに進んでいくようになる、という事なんですね。

 

 

そのような影響というのは当然さまざまな事に関連していきます。「直接的に」というよりは「間接的に」影響するでしょう。

 

仕事や家庭、あるいは人間関係など、あなたにとってのすべてに影響すると言っても過言ではありません。

 

当然、「病気」などといった問題も実は「厄」というものが大きな原因の一つになっていると考えられます。

 

つまり、「厄」というものを放置することで結果的に病気を患い、「浄化」をすることで病気が治る。そういった事が起こるのです。

 

にわかには信じがたい事かもしれませんが、案外、世の中ってそんなもんです。

 

 

例えば、うちに来た患者さんでこんな方がいました。

 

背中の痛みが治まらずツラい、と治療に来たOさん。自分ではどうしようもないために治療に来ました。

 

当然ながら僕は専門家として治療をし、痛みに対する対処方法や食事などで気を付けることをアドバイスします。

 

ですが、 そういったアドバイスをなぜかOさんは受け入れてくれません。

 

からだの問題というのは、えてしてその人の日常生活に原因があったりするもので、実際に検査においてもそういった原因が現れているにもかかわらず、その事についての説明には全く理解を示してくれません。

 

これって不思議な話だと思いませんか?

 

自分ではどうしようもないから、専門家を頼っているわけです。

 

にもかかわらず専門家のアドバイスは受け入れられないと。あきらかに矛盾していますよね。

 

実はこの患者さん、少しだけ精神的な問題を抱えている方でした。

 

仕事上の問題にずいぶん悩まされているとの事で、メンタルの問題を調べた時に出てきた感情は「不信・疑惑」。

 

そういった問題が影響して強いストレスを感じ、たびたび胃の不調も訴えていたのです。

 

主訴であった背中の痛みは、実はその胃の不調から引き起こされている症状でした。

 

つまりOさんは、自身の感情にあった「不信・疑惑」という「厄」を通して物事を判断しなくてはいけない状態であったために、結果として正しい判断ができず、前述したような「矛盾した受け止め方」しかできなくなってしまっていたのです。

 

そして、最終的にOさんは治療を途中で止めてしまいました。

 

 

「厄」というものが病気を引き起こし、さらに治療を遅らせてしまった典型的な例ですね。

 

当然、こういったケースの他にもたくさんの「厄」になり得るものは存在します。

 

多いところで言うと「お金」「時間」「仕事」「思考」などでしょうか。

 

プロのスポーツ選手なんかだと、メンタルの問題に対して「理論的に考えすぎてダメになる人」というのが少なくないようです。

 

それはおそらく、「メンタルトレーニング」というものがほとんど普及していない、あるいは誤解されている、といった問題が現実的にはあるのだと思います。

 

あとはインナーチャイルドの問題を抱えている方というのもものすごく多いですね。

 

その辺の事というのは、実は僕自身もかなり苦労させられたのですごくよく分かります。

 

ただ、やはりそれもまた一番の問題は、そのような問題自体の存在に「気が付いていない事」なんですね。とにかくそれに尽きます。

 

ものすごく色々とツラい。うまくいかない。でも何でか分からない。原因が分からない。原因があるという事すら気付いていない。そんな状態です。

 

その場合、どのような問題が、どの位のレベルで起きているのかという事については当然、個人差があるでしょう。

 

仮にそれが「病気」などの形で起きている場合、性急に「病気」そのものの治療を始めてしまう前に、まずは

「自分にとってその病気は一体どのような意味があるのか?」

といった事を、自らに問いかける必要があるのかもしれません。

 

そして、その「病気」を引き起こす大きな原因になっているかもしれない「厄」という「見えない原因」から対処する事によって、その後の治療の効果や結果・予後などに大きな差が生まれる、といった事が決して少なくはないでしょう。

 

 

「病気」が治る人と治らない人の差、というのは案外、そういった所にあるのかもしれません。

 

 

 

 

 

寝られないくらいの足の痛みの原因とは?

 f:id:soumasekkotsuinn:20150530112649j:plain

 

どうも。ネコと一緒に寝ることだけが唯一のしあわせのきんたろうです。

 

 

睡眠って大事ですよねー。

 

それこそ、毎晩しっかりと睡眠をとれるからこそ、毎日の仕事を何とかこなすことができるわけですからね。

 

でも、人によっては何かしらの原因でなかなか寝付けないとか、眠りについてもすぐに目が覚めてしまう、なんて人もいたりします。

 

一日、二日だけの事だったらどうってことない事かもしれませんが、それが毎日続くとなると、当然、日常生活にまで影響を及ぼしてしまう事にもなりかねないでしょう。

 

 

 

今回はそんな患者さんのお話。

 

 

最近、転職したばかりの男性Kさん。

 

営業職という、今までに経験したことのない職種への転職のため、仕事に慣れるまでは色々と苦労しているようです。

 

 

そんなKさん。

仕事が終わって帰宅すると、ここ最近、必ず右のふくらはぎの何とも言えない重苦しい痛みが、それこそ朝まで続くそうです。

 

そのため、就寝してもなかなか眠りにつくことができず、眠ることができたとしてもすぐに目が覚めてしまうため、睡眠不足で仕事にも支障をきたしている、という事。

 

自分で足を揉んだりしても全く改善しないため、当院へ来院されました。

 

 

 

仕事が終わるのが遅いため、うちの接骨院で治療を開始したのが夜の九時過ぎ

 

いつもはこの時間くらいから足の痛みが出始めるらしく、問診をしながらベッドで横になっていると、「あー、きたきた…」と、徐々に足の苦しさが現れてきた事を訴え始めました。

 

こうなってしまうと、どんな体勢をとっていても痛みが治まらなくなってしまう、という事ですが、唯一、風呂に入っている時だけは痛みが和らぐ、との事。

 

なので、とりあえず患部をホットパックで暖めながら診断を進めていきます。

 

 

 

最初に立位で身体のバランスをみると、左側方に体が傾いているのが見受けられました。

 

それから、そのまま立位の状態で足部を診ると、中度から重度の扁平足が確認。

 

基本的に扁平足の人は、足部や下肢の構造的なバランスが崩れてしまう為に、ふくらはぎや足底の筋が極めて疲労しやすい状態になってしまっている事が多く見られます。

 

 

次に、仰向けの状態で下肢長を確認すると、左右の下肢の長さに大きな差が!

 

見かけ上の下肢長差では2㎝強でしたが、詳しく検査をしてみると、棘下長(上前腸骨棘→内果)で約3.5㎝、転子果長(大転子→外果)で約3㎝の左右差が確認されました。

 

下肢の骨折などの既往は無い、との事でしたので、おそらく成長期における骨の形成異常による脚長差ではないかと思われます。

 

 

普段、1㎝程度の脚長差がある患者さんはちょくちょく居ますけど、3㎝強くらいの脚長差となると正直、記憶にありません。

 

当然、日常生活における身体に対する負担は、相当に大きいと思われます。

 

 

また、見かけ上の脚長差と、棘下長・転子果長差とで1㎝程度の差異がありますが、これはおそらく、本来の3㎝強の脚長差を骨盤の歪みなどで代償している為だと思われます。

 

まぁ、3㎝強の脚長差がある状態で生活していれば、それが原因となって骨盤や骨格の歪みが生じていたとしても当然の事でしょう。ギッタンバッコンしちゃいますからね。

 

 

実際に骨格の状態を調べてみると、やはり骨盤と腰椎との間で歪みが確認されました。 

 

治療の優先順位を調べると「最優先」と出たので、骨盤ブロックを使用して矯正治療を行いながら、他の問題に対する診断を進めます。 

構造的な問題がある事が確認されたので、次に栄養などの科学的な問題について調べていきます。

 

 

右下肢の痛み・疲労感以外になにか自覚症状はあるか確認したところ、

「からだがとにかく疲れるんですよー」との事。

 

となると、左下肢という部分的な問題だけではなく、身体全体の問題も関係しているケースが考えられます。

 

 

なので、とりあえず適当に調べてみると、ミトコンドリア「乳酸」で弱さが現れました。  

 

これはつまりどういう事か?というと…。

 

 

毎日の食事で、エネルギーを作るための栄養素(三大栄養素)を摂取した場合、その栄養素がそのままエネルギーとして使われるわけではありません

 

まず初めに、身体の細胞内における「解糖系」という回路において、ブドウ糖」などの栄養素を「ピルビン酸」に変換し、さらにその「ピルビン酸」を、酸素が十分に供給されている状況において「アセチルCoA」に変換した上で、細胞内のミトコンドリア」における「クエン酸回路」・「電子伝達系」において「アセチルCoA」を「ATP」という生命エネルギーに変換することによって初めて、身体の中でエネルギーとして使うことができるのです。

 

つまり、その生命エネルギーへの変換が行われる場所というのが、おもに細胞内のミトコンドリアという場所なのです。

 

 

その「生命エネルギーの製造工場」と言えるミトコンドリアにおいて、何かしらの不具合が生じてしまった場合、「栄養素は足りているのにATPは生成されない」という状態になってしまうために、結果的に、身体は「エネルギー不足」の状態に陥ってしまうわけです。

 

そして、その「何かしらの不具合」を引き起こす原因の一つに「糖質の過剰摂取」があります。

 

 

ブドウ糖」の原料となる「糖質」を過剰に摂取する事によって、大量に生成されるブドウ糖」を「解糖系」において処理しきれない状態になってしまいます。

 

その結果、本来であればブドウ糖」から「ピルビン酸」を経て「アセチルCoA」が生成されるはずが、「乳酸」という別の物質が大量に生成され、細胞内に過剰に蓄積されてしまうのです。

 

 

ある程度の量の「乳酸」であれば、細胞等において代謝させる事も十分可能ですが、処理しきれないほどの量の「乳酸」が蓄積してしまった場合には、その影響によって細胞自体が機能不全を起こしてしまいます。

 

また、「解糖系」において「アセチルCoA」が生成されなくなるのですから、当然、その先のミトコンドリア」において「ATP」を生成するという事も出来なくなってしまいます

 

 

その結果、「エネルギー不足」「乳酸の蓄積による筋疲労と身体の酸性化」などの問題が起きてしまうのです。

 

 

そのようなミトコンドリア機能不全」という問題。

 

「単純な疲労状態」を引き起こすだけではなく、場合によっては「ガン」などの様々な病気を引き起こす大きな原因となる可能性まで指摘されています。

 

 

つまり、Kさんの身体においても、そういったミトコンドリア「乳酸」による問題が起きているのだと思われます。

 

 

そのような問題に関して、症状を訴えている下腿の筋への影響についても調べると、やはり、局所的な「ミトコンドリア」と「乳酸」の問題が確認されました。

 

そこで、何となくKさんに、ここ最近の食生活について質問すると、

「節約のためにすき家で牛丼ばっかり食べてました」との話(笑)。

 

 

念のため、さらに「ミトコンドリア」の問題を掘り下げて調べてみると…。

 

案の定、「ビタミン・ミネラルの欠乏」の問題も関連している事が確認。

 

 

やっぱり食事って大事ですよねー。でも…。

 

残念ながら、ほとんどの人は普段の生活でそういった関連に気付く事はありません…。

 

「なんか調子悪い…」

「でも何でか分かんない…」

 

「大したことないだろう」と後回しにした結果、「大きな病気や問題」が起きて初めて気が付く。そんなもんです。

 

 

さて、その他にも、慣れない革靴での営業の仕事による下腿の筋疲労や、また、転職による環境の変化やストレスなどの影響によって副腎疲労が引き起こされ、関連する下肢の筋における筋力低下の問題なども見受けられました。

 

これらの問題も影響して、「下腿の血液循環の悪い状態」を引き起こし、「局所的な酸素欠乏状態」を引き起こすことによって、 結果として、下腿の筋における「ATPが生成されないエネルギー不足の状態」「過剰に蓄積した乳酸による筋疲労の状態」を作り出してしまうのです。

 

 

ひとまずそこまで原因が分かれば、あとは診断結果をもとに治療するだけです。

 

診断している間に、右のふくらはぎの苦しさはかなり軽減していた、との事なので、これについては、最初に行っていた「骨盤と腰椎の歪みに対する矯正」と、「血液循環改善のためのホットパックによる温熱療法」による効果だと思われます。

 

 

その後、前述した診断結果をもとに治療。

 

治療を終えて帰る頃には、何の問題も無かったようなスッキリとした表情で帰られました。

 

 

 

とりあえず初回の治療としては、うまくいったように思います。

しかし、今の状態のままでは、遅かれ早かれ症状が再発する事になる可能性は高いと思われます。

 

 

それはなぜか?

 

理由は、「3㎝強の脚長差」「扁平足」です。

 

 

この二つの問題に共通する事。

それは「ほっとけばそのうち治る問題ではない」という事です。

 

これらの問題を放置する事によって、問題がさらに深刻化する事はあっても、自然と改善する事はまずありません

 

 

そういった構造的な問題への対策について真剣に取り組まなければ、問題は何度でも繰り返され、結果、症状は再発するでしょう。

 

 

とりあえず、Kさんには治療後、栄養バランスの問題の予防のために、ビタミン・ミネラルなどのサプリメントの必要な種類と所要量の指導を行い、併せて、扁平足を予防するための既製品のインソールを使用する事をアドバイスしました。

 

「エネルギー不足」の問題や、「過剰な乳酸の蓄積による筋疲労」の問題については、「普段の食生活における栄養バランスの改善」という対策が必要不可欠となるでしょう。

 

また、「3㎝強の脚長差」という構造的な問題を考えた場合、「既製品のインソール」ではその問題に対応する事ができないため、必然的に「オーダーメイドのオルソティック」を処方するのが適切だと思いましたが、今回は患者さんの希望に従い、さしあたり「既製品のインソール」で様子を見る事にしました。

 

 

しかしながら、果たしてそれでどこまで症状を予防する事ができるか…。

 

 

お金と時間が無限に有るのであれば、自分の健康を守る事に対していくらでも使うことができます。

 

三万円以上するオーダーメイドのオルソティックや、栄養状態を改善するための適切な食事・サプリメント、あるいは症状を改善するための治療にかかる施術料など…。

 

そういった事にお金と時間を使う事さえできれば、問題はいくらでも解決します。

 

 

ですが、現実的にはなかなかそう思い通りにできるとは限りません。

 

限られたお金と時間の範囲内で、なんとかやりくりをしながら生活している場合、どうしても後回しにせざるを得ないものが出てきます。

 

 

ただし、それは本当に後回しにしてもいいものなのでしょうか?

 

むしろ優先的に対処する事によって、長い目で見た場合、より少ない負担と労力で対処することができるのかもしれません。

 

 

えてして問題というのは、先送りにしたり後回しにする事によって、結果的に問題を大きくしてしまう、といった事がよくあります。

 

「健康に関する問題」というのは、まさにその最たるものなのではないでしょうか?

 

 

仕事も大事、生活も大事、お金も大事。でも、健康も大事です。

そして、健康なら仕事をしてお金を稼ぐ事もできますが、お金で健康は買えません。

 

 

そう考えた場合、何が一番大事なことなのか?

 

 

病気やケガをすることによって患者さんが問われている事とは、結局そういう事なのかもしれません。

 

 

そして、「そのような経験が意味するもの」とは、大病を患ってしまう前の、あるいは大病を予防するための「予行演習」のようなもの、なのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

どうにもならない「ダルさ」の原因とは? その3

  

f:id:soumasekkotsuinn:20150226150134j:plain

またまた前回の続きです。

 

前回の記事を読んでない方はコチラからどうぞ→

 

どうにもならない「ダルさ」の原因とは? - わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

どうにもならない「ダルさ」の原因とは? その2 - わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

 

 

腕を痛めた、と言って来院したOさん。

 

その原因を調べていくと、慢性的なからだの問題が存在し、

さらにその原因となっている精神的な問題が浮かび上がってきました。

 

そして、その精神的な問題を引き起こしていたのと同時に、一連の問題の

一番の根っこでもあった、Oさんの身の回りで起こった「出来事」とは一体…。

 

 

 

それは、約7か月前に起きた出来事。

 

可愛がっていたペットの犬が亡くなってしまいました。

 

すでに高齢だった事を考えれば、ある意味、致し方ない事だったのかもしれませんが、

じつは亡くなる1か月ほど前に、自宅から行方不明になってしまっていたのです。

 

 

必死に近所を探し回って、やっとの思いで探し出したのが数週間後。

 

年齢的な事もあってか、発見した時にはかなり衰弱していた、との事でした。

 

そういった事が影響したかどうかはわかりませんが、

それからさらに数週間後に老衰で亡くなる事に…。

 

 

その犬が生まれた時から19年間、ずっと一緒に生活してきた、

いわば「家族」の様な存在

 

そんな最愛のペットが亡くなってしまった事について、

「たぶんまだ引きずってるんだと思う…」

と、涙をポロポロとこぼしながら話をしてくれました。

 

 

もしかしたら「亡くなる前に行方不明になってしまった事が原因になったのでは…」と、

自分自身に対して、罪悪感のようなものも感じていたのかもしれません。

 

そのような罪悪感を抱え続けてしまっているために、

約7か月もたった今でも、亡くなった事を引きずってしまっているのかも…。

 

話を聞きながらそんなことを考えていると、じつは約1年半前にも

父親が亡くなっていた事を話してくれました。

 

 

そうです。

前回の治療の前にも、今回とは別の、同じように身近な家族の出来事があったのです。

 

果たしてこれは偶然なのでしょうか?

いえ、おそらく偶然なんかではないでしょう。

それには、ちゃんと「意味」があるのだと思います。

 

 

余談ですが、うちにも一匹の猫がいます。

 

うちの家に来て、かれこれ7年になるでしょうか。

 

どれくらい長生きするかはわかりませんが、

さいごまでうちの家族が世話をすることになるでしょう。

 

 

「身近な家族が亡くなる」という事は、ツラくて、悲しい出来事かもしれません。

 

場合によっては「どうしても受け入れることができない…。」

そんな方も居るかもしれません。

 

 

だとしたら、じゃあ、その身近な家族やペットとは

出会わなかった方がよかったのでしょうか?

 

そうすればツラくて悲しい思いをしなくて済む…と。

その方がよかったのでしょうか?

 

 

たしかに、最後のところ「だけ」をみれば、

「ツラくて悲しい出来事」にしか見えないのかもしれません。

 

でも、ちょっとだけ見方を変えて、それまでの事「すべて」をちゃんと見てみると、

実際はその何倍も、何十倍も、楽しい事や、嬉しい事や、幸せな事を

たくさんもらっていたことに気が付くはず。

 

ただ、今はまだ、うっかりそのことに気が付いていないだけ

 

たったそれだけの事なんじゃないかなと。

 

 

 

不思議なもので、人というのはなぜか「ネガティブな事」ばかりに

意識を奪われてしまったりしてしまいます。

 

実際には、「ポジティブな事」もたくさんあるのにね。

 

 

 

さて、前述したOさん。

 

計五回の治療で、その後すっかり腕のケガも良くなり、毎日元気に仕事をしているそうです。

 

 

そして僕は、毎日うちの猫にメロメロです。

 

 

 

どうにもならない「ダルさ」の原因とは? その2

 

 

前回の続きです。

 

前回の記事を読んでない方はコチラから→

 

どうにもならない「ダルさ」の原因とは? - わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

 

 

美容院を経営しているOさん。

 

前回の治療から約10か月後、今度は別の問題が起きたために来院。

 

前回とは全くちがう症状のため、パッと見は何の関連もない問題かと思ってしまいがち

ですが、じつは、根本的な原因の部分では、全く同じ問題が関係していたのです。

 

そして、その問題に隠れている、重要な「意味」とは…。

 

 

 

右腕を痛めた、と言って来院されたOさん。

 

美容師という職業上、利き腕というのは最も大事な「商売道具」

といっても過言ではありません。

 

そのため普段から、利き腕では重いものなどは持たないようにしていたりと、

神経質すぎるほど気を使っている、という事です。

 

その大事にしている「商売道具」を、なぜ痛めてしまったのか?

 

 

話を聞くと、なんでも布団を干そうとした時に、布団をかけていた脚立が

倒れそうになったので、とっさに布団を右腕で支えようと力を入れた時に痛めてしまった、

という事だそうです。

 

とりあえず、その話を聞く限りでは

「そんなに腕を痛める程の大きな負荷が、布団なんかでかかるものかな…?」

という、なにか違和感の様なものを感じましたが、ひとまずその事は頭の隅に置いといて、

まずは患者さんの状態を診ていきます。

 

 

患部を診てみると、肘周辺から手首までの間に若干の腫脹が確認されました。

 

また、肘関節付近の筋肉の付着部と、その筋腹の辺りに圧痛も確認。

安静にしていても、同様の部位に痛みを訴えています。

 

それから、手関節と肘関節を動かした時には痛みを訴え、特に、

手で何かをつかんだ状態で可動させた時に、一段と強い痛みが起こるという事です。

 

 

大まかに診て、急性のケガによる症状が認められたので、

まずは、現時点で現れている腫脹と疼痛の症状に対処していきます。

 

 

患部をアイシングをしてから、右上肢の関節の問題と筋力低下などの問題を調べ、

出てきた弱さを治療していきます。

 

仕事は休めない状況らしいので、とりあえず自宅でも一日数回のアイシングと、

包帯による圧迫固定を指導して、まずは一日も早く症状が解消することを目指します。

 

 

初回と2回目の治療では同様の施術を行い、それに伴って急性の症状も改善傾向には

あったのですが、若干、回復が遅いような気が…?

 

なので、3回目の治療からは、急性の症状に対する治療と合わせて、

治癒を遅らせているかもしれない慢性的な問題が無いか、調べていきます。

 

 

右腕を含め全体的に診ていくと、上半身に筋力低下を起こしている筋肉が複数見つかりました。

 

主に肩から腰にかけての広い範囲の筋肉に、筋力テストによって筋力低下が確認されます。

 

これが何を意味するのか?というと…。

 

体の軸になる部分の筋力低下が起きていた場合、例えば、とっさに腕で何かを支える、

といった時に、本来ならば体全体で支える事ができるはずが、腕の力だけで、

倒れそうになった布団を支えなくてはいけなくなってしまうために、結果的に、

今回の様な急性の損傷を引き起こす事になる、という事です。

 

つまり、急性の損傷を引き起こしたその背後には、

じつは、慢性的な筋力低下の問題が隠れていたということなんですね。

 

まぁ、こういった事なんかも「接骨院あるある」みたいなもんで、普通によくある事です。

 

なので、次はその筋力低下の原因を深く掘り下げていきます。

 

 

筋力低下を起こしている筋肉に対して、その原因になっている問題はないか調べると、

内分泌腺の問題が浮かび上がってきました。

 

具体的な部位を調べると、膵臓と、副腎

それと副腎と脳との情報のフィードバックの部分という反応が…。

 

あれ…?デジャブかな?

 

いえ、違います。

 

約10か月前に治療した時も、まったく同じような副腎関連の反応が現れていました。

 

つまり、これはどういう事なのか?

 

前回の治療の時に現れていた問題が、ずっと存在し続けていたために、それが

今回のケガを引き起こす一つの原因になっていたのかもしれない、という事なんです。

 

あるいは、問題の根っこがさらに深い所にあったために、

いったん改善した問題が再発してしまった、という事だったのかもしれません。

 

なので、今回はさらに徹底的に、問題の根っこの部分を掘り下げていきます。

 

 

筋力低下の原因として、副腎の反応以外に、上位器官である視床下部、下垂体の関連と、

そのほか、感情的な問題の影響かと思われる卵巣、膵臓、ランゲルハンス島などの

器官に弱さが現れました。

 

また、器官そのものの弱さ以外に、ホルモンの分泌に問題が無いかを調べると、

前述した関連器官の内、下垂体、副腎、ランゲルハンス島と、あとは副腎と脳の間の

フィードバックの部分にホルモン分泌の問題があり、副腎においては

特にコルチゾール/コルチゾンの分泌に問題がある、という反応が現れます。

 

その他、痛めた前腕と、問題が起きていた器官の一部に酸化の問題があったので、

そういった部分も含めて、

何もかも片っ端からオリャァァァ~!!と、片付けていきます(やっつけ仕事ではない)。

 

 

そんなこんなで、一つ一つ問題を片付けていきながら、治療の経過を患者さんに説明

したりするのですが、そこで、

「どうやらメンタルの問題が関係しているようだ」

という話をしたところ、思い当たるところがあるのか、Oさんが、ここ1、2年の間に

自分の身の回りで起こった出来事を、少しづつ、ゆっくりと話し始めました。

 

 

それは、前回の治療の時には聞く事ができなかった、

全ての問題の原因になっていた出来事の話でした。

 

 

そしてその出来事には、Oさん自身もまだ気が付いていないかもしれない、

「非常に重要な意味」が含まれていたのです。

 

 

「その3」に続きます。

 

 

 

どうにもならない「ダルさ」の原因とは?

 

 

 

f:id:soumasekkotsuinn:20150224235119j:plain

毎日、仕事を頑張っている皆さん!朝はいつもスッキリ起きられていますか?

 

 

僕は自慢じゃないですけど、昔っから朝は苦手で、

いまだにスッキリ起きられる事なんかほとんどありません。

 

皆さんの中にも、そういった方がいらっしゃるんじゃないでしょうか?

 

 

その場合、元々子供の頃から低血圧だったり、自律神経に問題があるためにそうなって

しまっているケース、というのもあるんですが、一方で、大人になってからの様々な問題に

よってそういう状態になってしまっているケース、というのも少なくありません。

 

 

そういった方というのは、自分の体がちっとも言う事を聞いてくれない分、

じつは人一倍、自分の体に毎朝ムチを打って、必死に頑張っていたりするもんなんです。

 

ですが、一般的な見方としては「ただの怠け者」程度にしか見られない、というのが

現実だったりします。

 

こういった事が初期症状になって起こるのが、春の季節によく聞く「五月病」などですね。

 

 

さて、そのような問題というのは、一体なぜ起きてしまうのでしょうか?

 

それにはちゃんと原因があったんです。

 

 

 

美容院を経営しているOさん。

 

ある時期を境に、毎日「どうにもならない疲労感」を感じるようになってしまった、

との事。

 

眠れない日も多く、しっかりと睡眠をとれたとしても体の疲れは抜けず、

以前のような元気も出なくなってしまった、という事です。

 

また、一日中睡魔が襲って来たり、精神的にも不安定な状態が続いている、との事。

 

それでも最初の頃は、なんとか無理をして仕事を続けていたようですが、

しまいにはお店のお客さんからも、あまりの様子のおかしさに体調の心配をされるように

なってしまった為、とりあえずは病院に行ってみる事にしたそうです。

 

 

最初に行った婦人科の病院では自律神経失調症という診断を受けて薬を処方されていた

そうですが、その薬を服用するようになってから、症状がさらに悪化。

 

 

本人いわく、「本当に死にたくなったツラい時期だった」との事でした。

 

 

あまりにも症状が悪化していたので、初診から数か月後に病院を変える事に。

 

次に行った心療内科であらためて診察を受けたところ、

薬を変えてもらったせいか、日に日に状態は改善。

 

薬を飲み続けることで、だいぶ状態は良くなってきていましたが、

それでも「最初の病院に行き始めたころよりちょっとは良くなった」という程度。

 

まだまだ、仕事をするのもツラい状態は改善していませんでした。

 

 

最初に体調の変化を感じ始めてから、約八か月ほど経ったそんな時期に当院に来院。

 

前述したような説明を受けて、とりあえず全体的に診ていくことにします。

 

 

まず、患者さんの状態をおおざっぱに診て、一番大きな問題はどこか?という意識で

探ってみると、「精神的な問題」というのが第一に浮かび上がってきました。

 

具体的には「寂しさ」「悲しみ」という感情の問題と、

その影響によって引き起こされる副腎、甲状腺、下垂体などの問題。

 

その中でも特に副腎の状態がもっとも悪く、それによって様々な問題が

引き起こされている、といった事が反応として出てきました。

 

副腎という臓器に対して、大きなストレスが掛かっていた事により、

副腎の状態が、3段階で言うと「レベル2」の状態にまでダメージを受けていた様子。

 

そういった影響によって、副腎から分泌される種々のホルモンが過剰に分泌されて

しまったり、あるいはホルモンが枯渇してしまうといった問題が

引き起こされてしまいます。

 

 

当然のことながら、そのような問題は、さらにからだのさまざまな問題を引き起こす

原因になるでしょう。

 

ちなみに、副腎のホルモンの分泌異常が引き起こす症状としては、

一般的に下記の様な事が挙げられます。

 

 

◇副腎疲労症候群・機能低下症 症状◇

…疲労感、漠然とした体調不良、免疫力低下、低血圧、起立性低血圧、低体温、たちくらみ

貧血、消化機能障害、頭痛、肝機能障害、アシドーシス、浮腫(むくみ)、肥満、心悸亢進、

恐怖感、不安症、うつ、パニック、集中力の低下、記憶力の低下、忍耐力の低下、学習障害

不機嫌、不眠症、甘いものや炭水化物の食品をむしょうに(無意識に)食べたくなるetc

 

 

◇副腎疲労症候群・機能低下症 続発症◇

…アレルギー疾患、自己免疫疾患、月経前症候群、無月経症、不妊症、分娩後うつ病

更年期うつ病更年期障害、頻発する呼吸器感染(鼻炎、副鼻腔炎、気管支炎、

慢性上気道炎、ぜんそく、かぜ等)、低血糖症繊維筋痛症慢性疲労症候群

成人性糖尿病、アルコール依存症、停留精巣、炎症性疾患(リウマチ、関節炎、大腸炎

十二指腸潰瘍、胃潰瘍クローン病、皮疹、他)、骨盤サブラクセーション(ct-Ⅱ)、

弛緩性回内足、頭蓋骨障害etc

 

 

実際、患者さんの訴えている症状と照らし合わせてみると、

やはりいくつかの症状が一致しました。

 

ひとまず、ここまでの検査結果を踏まえて、一番強く出ている問題から治療していきます。

 

 

感情的な問題による精神的な緊張を緩和するため、

まずはアロマテラピーの治療によって、緊張をゆるめていきます。

 

本人いわく「以前からアロマオイルの香りはすごくリラックスできるので好きだった」

との事。

 

もしかすると、精神的な問題への対処方法としては効果がある、という事を、

自分自身でも無意識のうちに気が付いていたのかもしれません。

 

 

アロマテラピーによって、原因になっている感情的な問題を少し「薄めた」うえで、

次に、問題を起こしている副腎等の器官の弱さを治療していきます。

 

 

自律神経と、その上位器官である視床下部等の関連や、栄養面の関連

酸化の問題などの関連を調べ、その都度治療していきます。

 

また、副腎等の弱さによってアキレス腱反射の減弱なども起こりがちなので、

そういった様々な面からもアプローチをしていきます。

 

ちなみに、副腎の関連筋が下肢に集中している関係もあって、

副腎の問題によって「扁平足」などの問題も、じつは頻繁に引き起こされます。

 

 

ここまでで、とりあえず1回目の治療は終了。

治療を終えて帰る頃には、来院時よりもスッキリした表情になっていました。

 

 

2回目の治療は二日後。

 

「精神的にも肉体的にも、だいぶ楽になってきた様子ではあるけれど、

まだスッキリしない感じが残っている」との事。

 

なので、前回出てきた問題をもう少し深く掘り下げて診てみます。

 

 

まずは、改めて全体的に診て、大きな問題があるところに意識を向けてみると、

肝臓脾臓、それと下垂体前葉から分泌されるFSHというホルモンで弱さが現れました。

 

おそらくこれらの問題も、感情的なストレス等が原因になって引き起こされた問題か、

あるいはそういった事が原因になって、二次的に引き起こされた問題かと思われます。

 

そのほか、消化器系の不調の原因とみられる腸内環境の問題も反応として現れていたので、

ひとまず、そこまでに出てきた問題を治療してしまいます。

 

 

そこまでで2回目の治療は終了。

 

治療を受けるたびに着々と体調は良くなっている、との事でしたので、

ここまでは順調にきているのではないかと思います。

 

 

3回目の治療はさらに一週間後。

 

「調子はかなり良くなっている」との事。

 

なので、ここまでの治療をさらに補完するような目的で、

もうちょっと深く掘り下げていきます。

 

 

副腎の問題について、具体的にどのホルモンが分泌異常を引き起こしているのかを

調べると、コルチゾール/コルチゾンというホルモンに反応が現れました。

 

また、副腎に対して、様々なストレスを意図的にかけることによって

副腎の弱さを引き起こす検査を行った結果、やはり感情的なストレスによる刺激や、

また、脳の一部である海馬との関連についても反応が現れました。

 

「海馬」というのは、脳における記憶の処理に関係する部位で、

PTSDうつ病の患者においては、

その部位の神経細胞の委縮が頻繁に確認される事が分かっています。

 

そのほか、副腎と脳との間の情報のやり取りの部分にも反応が現れたので、

そういったもろもろの問題を、片っ端から片付けていきます。

 

さらに、ホルモンなどを作るうえで必要とされる栄養素も不足しているようなので、

オメガ3などの良質の必須脂肪酸や、各種サプリメントの種類・必要量などを調べ、

日常生活において摂取する事などを指導します。

 

 

ここまでで3回目の治療を終えましたが、後日、近所で顔を合わせた時には

「もうすっかり元気になった!」との事だったので、

ひとまず、それで治療は終了しました。

 

 

計3回の治療によって、とりあえず表面的には良くなったかのようには見えましたが、反面

「ずいぶん良くなるのが早かった様な気がするけど、ホントにだいじょうぶかな…?」

という、若干の不安も感じていました。

 

 

というのもですね、患者さんの中には、毎日の生活を優先させるあまり、

自身の治療もそこそこに、一日も早く仕事に復帰する事だけに意識を奪われて

しまっている方、というのも少なくないからなんです。

 

ましてや、「精神的な問題」という、自分自身でもなかなか見えにくい部分の問題が

大きく関係しているのですから、こういった機会に

「ある程度じっくりと時間をかけて、自分自身を見つめなおす」

という事も重要なのですが…。

 

 

そんな心配をしていた時期から、さらに10か月後。

 

Oさんに、再び問題が起きてしまいます。

 

 

その2「二回目の治療編」に続きます。