わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

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じつは扁平足ってヤバい?その4

 

 

前回の続きー。

 

前回の記事を読んでない方はコチラ→

じつは扁平足ってヤバい?その1 - わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

 

じつは扁平足ってヤバい?その2 - わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

じつは扁平足ってヤバい?その3 - わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

 

 

 

今回で、このシリーズは最終回です(たぶん)。

 

 

最終回では、重度の扁平足の治療を行ううえで、絶対に必要不可欠なあんちくしょう、

「オルソティック」について紹介していきます。

 

 

前回の記事で紹介した「インソール」「既製品」の靴の中敷きなら、

「オルソティック」というのは、「オーダーメイド」の靴の中敷きになります。

 

一般的には、この「オルソティック」という名前自体、全く聞いた事がない人の方が

多いのではないでしょうか?

 

それもそのはず。

この「オルソティック」という物は、基本的に日本国内には存在しない物だからです。

 

それ以前の問題として、これは過去の記事にも書きましたが、日本では、

足の専門医である「足病医」という医学のジャンル自体が、そもそも存在しません。

 

 

「遅れている」というレベルではないのです。「存在しない」のです。

 

 

諸外国では、資格を取得して専門的に研究している医師が確かに存在する

「足病科」という科目が、なぜかこの日本という国では存在しない、という不思議な話。

 

おそらく「フリーメイソン」か「イルミナティ」辺りが

裏でなんかしているのでしょう(確信)。

 

 

さて、陰謀論はさておき、この「オルソティック」という物を説明するにあたり、

前述した話を踏まえたうえで、理解しておかなければいけない事があります。

 

それは何かというと、このオーダーメイドの「オルソティック」という物を

作ろうと思った場合、基本的には「外国の足病医」か、もしくは

「外国で専門に製作しているラボ」に依頼する以外に手段はほとんどない

という事です。

 

 

「足病医」という資格が日本では取得できない以上、

外国に行って資格を取得する以外に方法はありません。

 

実際、そうした方法によって海外で資格を取得している日本人医師も、

極めて少数ではありますが存在します。

 

しかし、わざわざ海外まで出向き、苦労して資格を取得したとしても、

日本国内にはそれを活かす場が無いため、

結局は、海外の医療機関で仕事をするしかない、というのが現状なのです。

 

つまり…

 

国内には「足病医」という資格も、そういった分野について研究する土壌も無い

→仕事や研究ができる場が無い

→専門の研究者も、「足病科」という科目も発展しない

→「オルソティック」を製作できる場所も、ノウハウも無い

 

こういう事なんですね。

 

 

その事については、実際にネットで検索してみるとよく解ると思います。

 

「オルソティック」というキーワードで検索しても、引っかかるのは、

うちの接骨院で、外国のラボへの制作依頼を引き受けていただいている、

総代理店「TOP-RUN」のグループがほとんどで、それ以外の情報は皆無です。

 

つまり、ネット上での話ではありますが、

日本国内において、しっかりとした知識や経験を持つ「足病医」によって、

オーダーメイドの「オルソティック」を製作している医療機関やラボ、といったものは

99%存在しない、という事です。

 

ですので、現実的な手段としては、

外国の足病医かラボに製作を依頼するしか方法が無い、という事になるのです。

 

 

しかしながら、実際に「オルソティック」の製作のために、わざわざ外国に行って製作を

依頼する、となった場合には、当然の事ながら相当な費用と時間が掛かってしまいます。

 

しかも、こういった製品というのは、作る人間の経験や技量によって、

出来上がるモノの良し悪し、というものに差が生じるものでもあります。

 

 

つまり、外国の足病医やラボであっても、

必ずしも満足できる「オルソティック」を製作してくれるとは限りません。

 

そういった事をどうやって判断して、優秀な足病医やラボを探すのでしょうか?

日本国内ですら、近所でいい病院探すのって大変ですよね?

 

そう考えると、「外国に行って製作する」という手段についても、

ハッキリ言って現実的な話ではないのです。

 

まぁ、お金いっぱい持ってる人だったら、どうにでもなる話ですけどね笑。

 

ましてや、「オルソティック」を製作する為のノウハウを持つ医師や医療機関が

存在しない日本国内で、仮にそういったものを製作できたとしても、

やはり、ある程度のレベル以上の物ができるとは考えにくいでしょう。

 

 

しかし、そのような、一般の方にとっては非現実的な事を代行してくれる会社が、

じつは茨城県にあります。

 

それが、前述しました「TOP-RUN」という会社です。

 

うちの接骨院でも、こちらの会社に「オルソティック」の製作依頼の代行を

お願いしているのですが、その会社では、常に良いモノを探し求めて、定期的に

諸外国(ニュージーランド、オーストラリア、カナダ、アメリカ、イングランド等)

を飛び回っているそうです。

 

ちなみにここの会社の社長は、接骨院も経営している、いい年したおじさん(失礼)

なんですが、しかしながら、その年齢に見合わない行動力にはホントに頭が下がります。

 

 

さて、こういった医療の問題については、将来的には国内においても「足病医」という

医学のジャンルが発展し、「足病科」や「オルソティック」といった物が、

もっと身近な存在になる日が必ず来る、とは思います。

 

しかし、少なくとも今日の状況としては、国内において

そういった問題を解決するには、極めて難しい状況であることは否定できません

 

現実的にどうすればいいのか?という事を考えた場合、その手段というのは、

極めて限られたものになってしまう、という事はご理解いただけたかと思います。

 

 

前置きが長くなってしまいましたが、

とりあえずその「オルソティック」という物とは、一体どういった物なのか?。

 

まずは、例によって、うちで依頼して製作してもらった製品をとりあえず紹介します。

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このオルソティックは、カナダのラボに依頼して製作した物になります。

 

うちの接骨院では、まず最初に足部の診断を行い、

次に、足部の骨格を理想的な位置に固定した状態で、

「バイオフォーム」という、柔らかいスポンジのような物で足型をとります。

 

 

ここで重要な事は、

「足部の骨格を理想的な位置に固定した状態で足型をとる」という部分です。

 

普通に立位の姿勢などで、扁平足のままの状態での足型によってオルソティックを製作

しても、結果として出来上がるオルソティックも、扁平足の状態の物が出来上がります。

 

当然ながら、そのような作り方をした物では、

足底アーチを理想的な位置で支える事はできないため、

扁平足に対する矯正力、というものはほとんど期待できません。

 

そういった問題を考慮したうえで製作されたオルソティックと併せて、

しっかりと足部を支える事ができるシューズを使用する事によってはじめて、

扁平足の問題を解決するための、準備が整うのです。

 

あくまでも「準備が整う」というだけの話です。

 

当然ながら、その上で様々な治療が必要になるのですが、

その点についてはまた次の機会に。

 

 

さて、前回と今回の記事で紹介した「インソール」と「オルソティック」。

 

その基本的な使い方としては、扁平足とそれによって引き起こされる

様々な身体の症状を改善させるために、必要不可欠なツールとして使用します。

 

その場合、扁平足のレベルや、二次的に引き起こされる症状の程度については、

当然ながら個人差があります。

 

そのため、一般的には、

比較的軽度の扁平足などの方については、既製品の「インソール」の使用を勧め、

中度から重度の扁平足などの方については、オーダーメイドの「オルソティック」

使用する事を勧めています。

 

そうする事によって、必要以上の出費を抑える事ができるのと同時に、

患者さんが望んでいる最善の結果を、最短距離で出すことができるのです。

 

 

それともう一つ、「オルソティック」を使用する必要性について。

 

上の方に掲載した画像のうち、黒い方のオルソティックをよく見て頂けると

分かると思いますが、右と左で高さが違うのが見てとれるかと思います。

 

これは、注文した患者さんの体の状態として、

扁平足と併せて左右の脚長差が1センチ程度あったためで、

その脚長差の補正という目的に対してオルソティックで調整を行うのです。

 

こういった問題の対処方法については、やはりオーダーメイドの

「オルソティック」でなければ、中々満足のいく治療結果は得られません。

 

したがって、基本的に1センチ以上の脚長差がある患者さんには、身体に対する影響

というものを考えて、なるべくオルソティックの使用を勧めるようにしています。

 

この「脚長差」というものについても、

患者さん自身では、なかなか気が付きにくい問題ではありますが、だいたい

1センチ以上のレベルになった場合、身体に対する影響は大きいと思われます。

 

 

 

欧米と比較すると、靴の文化の歴史はまだまだ浅い日本。

 

その問題点への対処方法についても「まだまだこれから」といった所でしょうか。

 

 

 

じつは扁平足ってヤバい?その3

 

 

以前書いた記事の続きです。

 

読んでない方はコチラ→

 

じつは扁平足ってヤバい?その1 - わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

じつは扁平足ってヤバい?その2 - わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

 

 

前回に引き続き、扁平足が引き起こしてしまう、時に命を奪いかねないほどの恐ろしい

問題の対処方法について、その救世主となるであろう

「インソール」と「オルソティック」について話していきます。(大げさ)

 

 

一般的にはあまり知られていない「インソール」「オルソティック」

 

普段、スポーツをされている方なら、そういったモノの存在を、

少しはご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

 

ちまたのスポーツショップなどに行くと、意外とたくさんのメーカーから、

さまざまなタイプのインソールが、商品として販売されています。

 

 

この「インソール」という商品を一言でいうと、ようは「既製品の靴の中敷き」です。

 

一般的に靴屋さんで取り扱っている「靴の中敷き」の用途とは、

おもに靴の消臭や、歩行時のクッション性といった目的で作られています。

 

それに対し、スポーツショップで取り扱っているものの用途は、

インソールを使用することで足底アーチを支えて、アーチの高さや形状を維持する事で、

扁平足によって引き起こされる足部や身体の問題を防ぐ

といった目的で作られている物がほとんどだと思います。

 

 

では、そういった一般的に販売されているものを使用することによって、

実際に扁平足などの問題を防ぐことができるのか?というと…。

 

個人的な意見としては、商品によって程度の差はありますが、まぁ、実際のところ、

「何もないよりはマシ」

といったところでしょうか…。

 

そもそも、実際の良し悪しといった事については、やはり使ってみなければ分からないものですからね。

 

なので、興味がある方はスポーツショップに行って、試着をしてみる事をお勧めします。

 

 

「医療用」のインソールについても、だいたい同じような機能が求められていると

思いますが、やはり「足底アーチを正しく支えること」というのが、

最も重要な役割だと思います。

 

では、具体的にどういったポイントでインソールを選べばいいのか?

その点が、一般の方にとっては難しいところでしょう。

 

なので、まずは参考までに、うちの接骨院で取り扱っているインソールを紹介します。

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この製品は、ニュージーランドのフット・サイエンス・インターナショナル社で、

医療用矯正具として製造されている、

「フォームソティック」というインソールです。

 

画像の製品はメディカル用モデルで、その他にも各スポーツ用モデルが数種類あります。

 

あくまでも医療用矯正具として製造されている物ですので、

一般のスポーツショップ等では販売していません。

 

日本国内でも、限られた医療機関でしか基本的には取り扱っていないようです。

 

 

このインソールの特徴は、というと…

 

1、軽量発泡体を素材として使用する事による、圧倒的な軽さ(約20g前後)

 

2、軽量発泡体を使用する事によって、シューズ内部の足底下の空間をしっかりと埋める事が可能となり、体重による負荷や、運動時における負荷を足底アーチとともにしっかりと支え、足部の安定感を生み出す

 

3、軽量発泡体を、ミーリングマシンによって切削加工する事で成形される一体化構造により、装着時における抜群のフィット性と気持ち良さを実現

 

4、「足部の骨格のアライメント矯正」のみならず、「歩行時における足部の動きの矯正」も行う

 

特筆すべきポイントとしては、上記のような事が挙げられます。

 

 

1、「軽さ」という点について

 

インソールを使用する人の中でも、特に本格的にスポーツをされている方にとっては、

シューズを含めた重量という要素が、最終的な運動性能にダイレクトに影響する

という事は、けっして無視することができない要素でしょう。

 

ちなみに、一般的な他メーカーのインソールの場合、軽いものでも40g以上、

なかには約60g近くあるものもあります。(片足分で!)

 

 

2、「シューズ内部の足底下の空間をしっかりと埋める事が可能」

   という点について

 

一般的なインソールの場合、使用している素材自体の重量がどうしても重くなってしまう

ため、足底下の空間をすべて埋めるようなインソールを製作してしまうと、

前述した、インソール自体の重量がさらに重くなってしまいます。

 

そのために、インソールによっては、どうしても足底アーチ下の空間を

空洞の状態にせざるを得ません

 

そうなってしまった場合、特に荷重時や、運動による負荷がかかっている時などに、

足底アーチを支えきるために必要な剛性を確保する事ができず、

足底アーチの上下運動が制御できなくなってしまうために、結果として

足部の安定性を維持する事ができない、という問題が生じてしまいます。

 

 

3、「発泡体の切削加工による一体化構造」について

 

軽量発泡体を使用した一体化構造にする事によって、

前述した「軽さ」や「シューズ内部の空間をしっかりと埋める」といった点につながる、

という意味では、このインソールを作る上で、すべての根幹を成す部分になっている

と考えられます。

 

また、加工方法についても、よくあるプレス加工製品の場合、

インソールの硬さを均一にする事ができない、といった問題が生じてしまいます。

 

つまり、硬い部分と柔らかい部分が存在してしまうため、

足部や体全体の安定性が損なわれてしまうのです。

 

 

4、「歩行時における足部の『動きの矯正』も行う」という点について

 

足底アーチを支えるという事が、足部の「構造的な矯正」になるのに対し、

このインソールの場合、その特徴的な形状によって

歩行時における足部の「動きの矯正」も同時に行ってしまうのです。

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インソール底面の画像を見ると、かかとの部分と、前足部との間で

斜めに角度が付けられているのが分かります。(わかりずらい…)

 

この形状によって、歩行周期における立脚相(地面に足が着いている時)において、

腫接地期から立脚中期までは、かかとの外側に荷重が掛かるように足部の動きが誘導され

その後、立脚中期を境に、腫離地期、足趾離地期となるにしたがって、荷重のポイントが

足部の外側から足部中央を経て内側の母趾へ移動し、最終的につま先が地面から離れる

まで、まさに理想的な足部の動きになるように誘導されるのです。

 

 

この点については少々専門的な事なので、ちょっと解りづらいかもしれません。

 

 

ですが、こういった「足部の動きをインソールで矯正してしまう機能」

というのは、実はとてもスゴイ事なのです。

 

 

このような機能が備わったインソールというのは、他に見たことがありません。

 

特にオーバープロネーション(回内足)の方にとっては、

間違った足の動きを矯正するうえで、まさに理想的なツールになると思います。

 

 

このように、医療用のインソールには、足部の問題を解決するための

様々な機能が要求されるのです。

 

 

さて、最後に、インソールを選ぶうえでのポイントをまとめると…

 

1、色々なインソールを試着して、足底アーチをしっかりと支える事ができるものを選ぶ

  (素材の硬さ、アーチ部の高さ、身体前後の重心バランスの変化etc)

  特に、インソールの下部に空間があるような製品の場合、

  実際にインソールに足を載せてみて、荷重に耐えられるか確認する

 

2、スポーツを行う方の場合、インソール自体の重量によって、

  運動性能に大きく影響するので、できるだけ軽いものを選ぶ

 

3、装着時のフィット感や気持ちの良さ

 

 

まぁだいたい、こんな所でしょうか。

 

 

あ、あともう一つ重要な事があります。

 

当たり前、と言えば当たり前の事なんですが、「足を支える」という事を考える上では、

インソールと同じくらい「シューズの機能」というものも、非常に重要なポイントです。

 

つまり、「インソール」によって、足底からアーチを支えるのと同時に、

「シューズ」によって足部を周囲から支える、という事を

併せて行う事が重要になるのです。

 

実際、「シューズの選び方」にもポイントがあるのですが、それはまた次の機会に。

 

 

ちなみに、僕が昔、若いころにスノーボードをしていた頃、

特にシーズンインの時期には決まって足の裏が、痛くて、苦しい状態に

しょっちゅうなっていました。

 

今考えてみると、その頃すでに扁平足の状態になっていて、その影響によって、

足底の筋に負担が掛かっていたために、足の裏に痛みを引き起こしていたんだなぁ…

と、今頃になって気が付きました。

 

 

あの頃に、こういうモノがあればなぁ…(遠い目)

 

 

という事で、次回は、重度の扁平足の治療を行ううえで必要不可欠なもう一つのツール

「オルソティック」

について、お話をしていきます。

 

 

 

 

じつは扁平足ってヤバい?その1~誰でもできる「扁平足の診断方法」~

 

 

うちの治療院に来る患者さんで、肩や腰・膝の症状を訴えて来られる方がいます。

 

そういった方の症状について調べていると、その原因として

「扁平足」が問題を引き起こしているケース、というのが少なくありません。

 

えっ?肩や腰の問題の原因が「扁平足」?

 

そう思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

ですが、じつはこれが意外と、様々な身体の症状を引き起こすやっかいな問題

だったりするのです。

 

にもかかわらず、日本という国の医療の世界において、そういった足の問題というのは、

ほとんど無視されている分野になってしまっているのが現状です。

 

実際、病院へ行っても、足だけを専門に診る診療科なんて

見た事も聞いた事もありませんよね?

 

一方、諸外国ではどうか?というと、

足の問題に対する医療、というのはそれなりに認知されています。

 

国によっては「足医学」「足病医」といった専門の分野・資格もしっかりと存在し、

そこでは日々、様々な研究が進められているのです。

 

いったいなぜ日本では、足の問題というものがまったくと言っていいほど

認知されていないのか?

 

という事について、あれやこれやと意見を述べてもあまり建設的な事ではないので、

今回は

 

「そもそも扁平足とはどういったものなのか?」

「どういった問題を引き起こすのか?」

 

という事について書いていきたいと思います。

 

まず始めに、典型的な扁平足の画像を紹介します。 

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どうでしょうか?見事なまでのペッタンコの扁平足です。
 
 
この位の状態になると、レベル的には「重度」の扁平足と言っていいかと思います。
 
 
ちなみに、この患者さんの場合、足部自体には何の症状も訴えてはいませんでしたが、
立ち仕事をしている時のふくらはぎの易疲労感と、
背中から腰にかけての慢性的な痛み・重苦しさ・疲労感を訴えていました。
 
 
それと、この患者さんはまだ三十代の方なんですけど姿勢が良くありません(猫背)。
 
 
そういった事も、扁平足による影響が大きいと思われます。
 
 
 
「でも、そういう姿勢の変化なんて見た目だけの問題であって、
別に大した問題ではないんじゃない?」
 
 
 
などと、安易に考えてしまいがちですが、
残念ながら、それは非常に甘い認識だと言わざるを得ません。
 
 
実際、扁平足が原因となって引き起こされる骨格や姿勢の変化によって、
肩こりや腰痛・膝の痛みなどといった慢性的な問題が起きてしまう、
といった事も決して少なくはないのです。
 
 
そして、最も問題になる事は、そういった慢性的な症状を引き起こしている原因が、
じつは扁平足にある、という事にまったく気が付かないために、
どんな治療を行ってもなかなか改善しない、という事にもなりかねないんですね。
 
 
 
そうなんです。
 
あなたがいま抱えている肩や腰・膝の問題は、
 
もしかしたら扁平足が原因なのかもしれないのです。
 
 
 
そこで、まずはあなたの足が扁平足かどうか、
簡単に確かめるためのセルフチェック法を、みなさんにご紹介させていただきます。
 
 
 
 
まず、用意するものは鏡です。
 
 
壁や椅子に対して鏡を画像のように立て掛けてください。
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次に、素足の状態でその鏡の前にななめに立ってください。

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その状態で鏡を見ると、次の画像のようにご自身の足の状態が確認できると思います。

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アップにするとこんな感じ。鏡の角度を上手く調整するとよく見えます。

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左右でアーチの高さが違う方もいるので、念のため両方の足を確認して下さい。

 

 

この状態で、床と土踏まずとの境目の部分に、どの程度のアーチがあるかを見ることによって、ご自身の足が扁平足かどうかが確認できます。

 

 

ちなみに、座った状態(無荷重状態)で足を見ても扁平足かどうかは分かりません。

 

 

あくまでも自分の体重を載せた状態でなければ、

実際に扁平足なのかどうかは判断できないのです。

 

 

治療院で診断する時には、もう少し詳しく足の状態をチェックしますが、

大まかな状態としては、この方法で確認できるかと思います。

 

 

どうでしょうか?自分の足をこんな感じで見るのは初めてではないでしょうか?

 

 

もしかしたら「今初めて自分の足が扁平足なのを知った…」

という方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

 

さて、次回は扁平足によって引き起こされる骨格や姿勢の変化と、

それによって現れる、様々な体の症状についてお話をしていきます。

 

 

 

 

 

じつは扁平足ってヤバい?その2

 

 

前回の続きです。

 

前回の記事を読んでいない方はコチラ→

 

じつは扁平足ってヤバい?その1 - わかりにくい治療家の世界のわかりやすい話

 

誰でも一度は耳にしたことがある「扁平足」という言葉。

 

しかし、それがどんな身体的問題を引き起こしてしまうのか?という事については、

じつは、ほとんどの人が知りません。

 

もしかしたら、あなたのからだにも様々な問題を引き起こしているかもしれない

「扁平足」の正体とは一体…。

 

 

なにやら「フリーメイソン」や「イルミナティ」の様な、

謎の秘密結社のような感じになってきました。

 

でも冗談抜きで、あなたが気が付かないうちに肩や腰・膝などの問題を引き起こしている

全ての「元凶」になっているかもしれないのです。

 

その場合には、当然のことながら扁平足に対する適切な対処をしなければ、

結果として引き起こされている身体的問題は改善しません。

 

では具体的に、どういったからだの問題を引き起こすことがあるのでしょうか?

 

 

先日、足首と膝の痛みを訴えて来院された主婦のSさん(女性64歳)

 

もうかれこれ10年以上、趣味のバドミントンを週に三回ほどのペースで続けているとの事。

 

日常生活ではほとんど何の問題も無いのですが、

ここ最近、競技中に限って徐々に足首と膝に痛みの症状が現れるそうです。

 

それと、練習終了後になると左の首から肩にかけてハリを感じる、

といった症状も現れるとの事。

 

とりあえずマッサージでもしてもらえればと、治療に来られたそうです。

 

本人的には、大したことはないだろうと軽く考えているようですが…。

 

 

まず、最初に姿勢の検査を行います。

 

正面から診ると、からだ全体が右に左にウネウネと、弯曲しているのが確認できます。

 

次に、そのまま立位の状態で足部を診ると、左右の足底アーチの低下が確認されました。 

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画像を見ると、右が中度から重度、左が軽度の扁平足が認められます。

(無荷重状態と比べて)

 

安静時の状態がこんな感じですから、バドミントンの様な、足にかなりの負担を強いる

競技を行っている最中は、さらにアーチが低下していると考えていいでしょう。

 

つまり、普通に生活している分には大した問題は起きないかもしれませんが、

例えば、立ち仕事などによる足部に対する長時間の負荷や、少々激しい運動を行う

といった場合には、足底アーチを支えている靭帯や筋肉が、体重や運動による負荷に

耐え切れずに、アーチの高さを維持することができないために足底アーチが低下し、

その影響によって、全身の骨格や姿勢の変化を引き起こしてしまう

 

といった事になるのです。

 

ちなみに、全身の骨格や姿勢の変化については、一般的に下記のような事が考えられます。

 

・第1中足骨頭の内側への変位による外反母趾

・第5中足骨頭の外側への変位による内反小趾

・上記中足骨の変位による横アーチの低下

・距骨の過回内変位と、それにより引き起こされる回内足、踵骨の外反変形強制

・足底アーチの低下と距骨の回内に伴う、脛骨の内旋変位、さらに膝関節への内旋強制

・膝関節内旋に伴う大腿骨内旋強制と、膝蓋骨外側変位

・大腿骨内旋変位に伴う股関節内旋、内転、屈曲強制と、同側寛骨の前方回旋強制

・片側の扁平足の場合、上記のような骨格の変位が、骨盤や腰椎の歪みや側弯症を誘発

・脊椎の側弯症等に伴い、顎関節症などの問題を誘発

・身体の前後のバランスが崩れるために、猫背や腰椎の弯曲の増強

 

ざっと大まかにではありますが、骨格や姿勢に対する影響だけでもこれだけの問題が

起きる可能性があります。

 

上記のような問題が、じつは扁平足が大きな要因となって引き起こされている

という事については、世間一般的にはほとんど知られていません。

 

さらに、当然の事ですが、前述したような骨格の問題が原因となって、

骨格に付着している筋や靭帯などの、軟部組織の問題も引き起こされてしまいます。

 

つまり、問題の原因が骨格の変位や歪みにある場合は、

「揉んだって治んないよ?」って事です。

原因に対する適切な対処をしなければ、すぐにまた元の状態に戻ってしまいます。

 

さらにさらに、骨格や姿勢の変化が起きるという事は、骨格の内部にある臓器や器官

が存在し血管や神経が走行するスペースが狭くなる可能性がある為に、結果として、

内科的な問題まで引き起こされるかもしれません。

 

まさに、全身的な影響が引き起こされてしまう可能性が

あるのです。

 

そうなってしまうと、ハッキリ言ってイルミナティどころの騒ぎではありません。

フリーメイソンなんてハナクソみたいなもんです。(フリーメイソンの人ごめんなさい)

 

大げさだと思いますか?

 

いえいえ、甘いです。

程度によっては、ホントに寿命が縮まるかもしれないような事なんです。

 

少なくとも、QOL(生活の質)は著しく低下するでしょう。

 

 

さて、あらためてSさんの問題について考えてみましょう。

 

右ひざの痛みについては、右の足部の扁平足が原因となって、

膝関節や股関節の内旋強制が起きてしまう為に、競技中、膝関節周辺の筋肉や靭帯に

ストレスが掛かり、徐々に膝の痛みを引き起こしてしまっていた、

と考えられるでしょう。

 

足関節の痛みについては左の足部に出現していますが、検査したところ、

左の距骨等のミスアライメントが認められました。

 

また、詳しく話を聞くと、ずいぶん前から右の腰部に慢性的な痛み

頻繁に生じていたそうです。

 

その点についても詳しく検査をしたところ、足底アーチの高さに明らかな左右差

あるために、骨盤や腰椎の歪みや、

続いて引き起こされている筋力低下が認められました。

 

まぁ、なんでもかんでも全て扁平足のせいにするつもりはありませんが、

少なくとも、大きな原因のひとつになっている事は間違いないと思います。

 

Sさんの場合、仮に、これまで通り競技を続けていくのであれば、

今のうちに扁平足等の問題に対処しておかなければ、これから先もずっと、

膝や足関節などにストレスをかけ続けていくことになります。

 

その結果、競技中のみならず、日常生活においても膝の痛みが現れる

などといった問題まで生じかねません。

 

そうなってしまうと、趣味のバドミントンができなくなってしまうだけではなく、

日常生活における膝の痛みがさらに悪化し、最終的には、杖をついて生活しなければ

ならなくなってしまう、といった可能性もあるでしょう。

 

普段、接骨院に来られる、特に年配の患者さんの中には、

慢性的な膝の痛みを常に訴えていたり、

あるいは、変形性膝関節症などによって、膝の骨が変形してしまう事で、

結果的に、膝関節が真っ直ぐに伸ばせなくなってしまっている方などがいます。

 

そのような方の膝の問題を調べていくと、じつは扁平足が原因で、

そのような問題を引き起こしているケース、というのが少なくありません。

 

その場合、足底アーチを正しく支える「インソール」や「オルソティック」

といったものを使用し、なおかつ、骨格の変位や筋力低下、靭帯の問題等に対する

適切な治療を行う事によって、少なくとも現在起きている痛みの症状等については、

劇的に改善する事もよくあります。

 

さて、この「インソール」や「オルソティック」とは一体どういった物なのか?

ご存知の方はいらっしゃいますでしょうか?

 

医療用に製作された物となると、一般の方にはあまり馴染みが無い物かもしれませんね。

 

ですが、じつはコレこそが、扁平足の治療を行ううえで

「最も必要不可欠なモノ」

なのです。

 

という事で、次回は、一般的にはあまり知られていない、

医療用の「インソール」と「オルソティック」について説明していきます。

 

 

 

 

「治療家」という仕事、「柔道整復師」という仕事

 

 

 

はじめまして。

 

治療家をやってます、きんたろうです。

 

「治療家」という仕事について、みなさんはどの程度、ご存知でしょうか?

 

まぁ、パッと思い浮かぶのは病院の先生とかなのかもしれませんが、そういった仕事が「通常医療」と言われているのに対し、僕の仕事は「代替医療」と言われているものに当たります。

 

具体的に言うと「柔道整復師」という職業なのですが、他にも代替医療と言われる職業には様々な物があります。

 

身近なものでいうと、鍼灸師、あんまマッサージ師、カイロプラクター、アロマセラピストなどでしょうか。

 

それ以外にも、聞いたことがないような肩書きが結構たくさんあるのが「治療家」という仕事なんです。

 

そういった代替医療の中でも、柔道整復師という職業は、

名前だけで言えば比較的なじみのある職業なのではないかな、と思いますが、

実際、どういった事を治療として行っているのかというと、

おそらく「よくわからない」という方がほとんどなのではないでしょうか?

 

例えば、病院の先生だったら薬を処方したり、注射を打ったり、手術を執刀したりというのが実際に行う事ですよね。

 

あるいは、鍼灸師であれば針を打ったり、お灸を据えたりする職業、という事がパッとイメージできると思いますが、柔道整復師という職業についてはどうでしょうか?

 

ほとんどの方は、はっきりとしたイメージが浮かばないんじゃないかなと思います。

 

なぜイメージが浮かばないのかというと、ぶっちゃけ何もないからなんですよw。

 

つまり「こういった事を行います」という、決まった術というものが無いに等しい職業なんです。

 

まぁ、しいて言えば「柔道整復術」というものがそれにあたるのだとは思いますけど…。

 

ええ、わかります。

皆さんの「ナンジャソレ感」はヒシヒシと伝わってきています。

 

これはまぁ、簡単に説明すると骨折・脱臼といったケガを治す治療法なんですね。

 

んで、もちろん、この技術というのは大変すばらしいものではあるんですけれども、正直、今の世の中における接骨院という場所では、徐々に必要とされなくなりつつある技術なんです。

 

いわゆる「自然淘汰」されつつある、ということですね。

 

まぁ、それが世の中の流れ、といってしまえばそれまでなんですけど。

 

んで、その必要とされなくなりつつある技術以外に何があるのかというと、特に何もないんですね、これがw。

 

そんな不思議な、ファンタジーあふれる謎めいた職業が、柔道整復師という仕事なんです(嘘)。

 

ですが、逆にそういった点こそが、柔道整復師という職業の面白いところでもあるんです。つまり…

 

「決まった形がない=自分の思ったとおりの形にできる」

 

という職業なんです。

 

もちろん、保険診療として出来ることには制限がありますが、健康保険を使わない自由診療という形であれば、自分で勉強して身に付けた知識や技術を、存分に治療に生かすことが出来るのです。

 

つまり、他の医療系の仕事と比べて、決まった形というものが少ない分、大変な面もありますが、同時に自由度の高い(決まったやり方にとらわれない)職業だと言えるのです。

 

それをメリットと捉えるか、デメリットと捉えるかは、人それぞれの物の見方や価値観の問題でしょうが、僕にとってはすごくやりがいのある、とても面白い仕事だと感じます。

 

ただ、そう考えるともはや「柔道整復師」という職業は単なる肩書き、あるいは医療の世界に入るための入口でしかなく、本質的には、すべての医療従事者と同じ「ただの一治療家」という職業になるのだと思いますけどね。

 

 

 

さて、この「治療家」という職業。実際の所、一体何をする職業だと思いますか?

 

そもそも「治療」とはなんでしょう?そんな当たり前のことを考えたことはありますか?

 

普通に考えたら「病気やケガを治すこと」というのが「治療」ですよね。

では、その「病気やケガの意味」とは、いったい何でしょうか?

 

例えばあなたが子供の時に、熱いものに触って火傷を負ってしまったり、あるいは刃物で誤ってケガをしてしまったり、といった事があったとします。

 

そのような「経験の意味」というものを考えてみると、単に「痛みを感じた」とか「辛い思いをした」という、ただそれだけの出来事ではないということが分かります。

 

つまり、そこには「経験することによって何かに気付く」という重要な意味があり、その事に気が付かなければ、同じことを何度も繰り返してしまう事になるでしょう。

 

それと同様に、「大人になってからの病気やケガ」という事にも、「痛みを感じる」「辛い思いをする」という事以外に、その経験によって気付くべき「何か」があると言えます。

 

その「何か」に気付くことによって、例えば病気の悪化や再発を防いだり、あるいは身近にいる人の病気の予防に役立てる事が出来るかもしれません。

 

そして、それ以上に「重要な意味」というものが、前述した「経験する事によって何かに気付く」という事には含まれていて、同時にそれは、治療を進めていく上での重要な「カギ」になるものでもあるのです。

 

言うなれば、「病気やケガ」という経験とは、そういった重要な事に気付くための「絶好の機会」という見方もできるでしょう。

 

そしてそう考えた場合、その「絶好の機会」をどう生かすか?という事が重要なんですね。

 

例えば、子供が学校から宿題を持ち帰ってきたとします。

親が子供の代わりに宿題をやってあげたりはしませんよね?

なぜなら、それは子供が成長するための「絶好の機会」を奪ってしまう事になるからです。

 

「病気やケガ」という事にも、実は同じことが言えるのです。

 

「宿題をやってもらった子供」は、その経験が生かされないので、勉強ができない人間になってしまいます。

 

同様に、ただ「治療をしてもらう」という意識だけでは、結局その経験が十分に生かされないので、遅かれ早かれ問題は再発する事になるかもしれません。

 

そう考えた場合、病気やケガをした人がやるべき事とは、いったい何でしょう?

我々「治療家」と言われる職業に就くものがやるべき事とは、いったい何でしょう?

 

「治療の意味」というのは、その辺に隠されている事なのかもしれません。